2025.07.16
ボディコントロールとは|犬にも飼い主にも役立つトレーニング
犬のお世話には歯磨きや爪切りなど、犬が嫌がるものがあります。これらのお手入れにかかる手間を軽減できるしつけが、ボディコントロールです。これは咬傷事故などの予防にも役立ちます。
今回は、犬だけでなく飼い主のためにもなるしつけである、ボディコントロールについて解説します。
犬のボディコントロールとは
ボディコントロールとは、人に触れられても嫌がらないようにするためのトレーニングです。全身を触られても噛みつかないくらい人の手に慣れさせることを最終目的として訓練します。
ボディコントロールを行っておけば、歯磨きや爪切りといったお手入れがしやすくなるほか、咬傷事故などを予防できます。犬も人も健康で安全に生活するために欠かせない訓練です。
ボディコントロールのやり方
ボディコントロールは正しい手順を守る必要があります。訓練の際は、以下の手順で少しずつ進めていきましょう。
最初は頭や背中から
犬によっては知らない人に触れられても平気な子がいますが、多くの場合いきなり触られると反射的にかんだり吠えたりしてしまいます。これを防ぐには、頭や背中などの比較的触れられやすい場所から訓練していくのが有効です。
頭や背中は飼い主に触れられるなら嫌がらない子が多い場所でもあります。犬の反応を見ながら、嫌がらない程度に触れて慣れてもらいましょう。
触られてもおとなしくしているなら、褒めてあげてください。肥満にならない程度におやつをあげて、抵抗感をなくしてあげるのも有効です。最終的には、おやつがなくてもおとなしくできるような状態にします。
慣れてきたら口周りに触れてみる
頭や背中に触れられてもおとなしくできるようになったら、次は口周りに移行します。頭や背中は平気でも、口周りは嫌がる子もいます。様子を見つつ、まずは顎下から触って徐々にマズルや口に移行してください。
この段階でのポイントは、少し触らせてくれた時点で褒めることです。徐々に時間を延ばしたりほかの場所を触ったりして、最終的には歯も触らせてもらえるようにします。ここまでくれば、歯磨きが問題なくできるようになるはずです。
最終的には弱点にも触れるように
犬には鼻先や前足など、弱点になる部分があります。これらは本能的に触られるのを嫌がる場所ですが、病院での治療や爪切りなどのケアでは、触れる必要のある場所です。ここもまた、ボディコントロールを通して触れられることにある程度慣れてもらう必要があります。
嫌がる場所の訓練を始める際は、根気強く取り組みましょう。これまでの場所以上に反応を見つつ、少しずつ触られることに慣らしていってください。
ボディコントロールの注意点
ボディコントロールは、犬にとっては強いストレスを感じる訓練です。取り組む際はほかのしつけ以上に気を付ける必要がある場合やポイントがあります。しつけする際は、以下の注意点をおさえながら取り組みましょう。
いきなり嫌がる場所から触らない
いきなりしっぽなどの嫌がる場所に触れると、人に慣れるどころか警戒心を高めてしまいます。これでは訓練の意味がありません。ボディコントロールに取り組む際は、まずは触れても嫌がらない場所から始めましょう。
飼い主に触れられることに慣れたら、我慢できる場所を見極めつつ触れていきます。嫌がったらすぐに辞められるよう、いつも以上に愛犬の様子をうかがいながら訓練していくのがポイントです。
小さいうちから毎日継続する
ボディコントロールは、子犬のころから訓練しましょう。犬の生後3週間から3か月ごろまでの期間は「社会化期」と呼ばれ、母犬や兄弟とのコミュニケーションを通して学習する時期だといわれています。この時期にボディコントロールをはじめとした人間との過ごし方を覚えることで、安全かつ快適に過ごせるようになります。
なお、犬の集中力は平均で10~15分です。子犬や警戒心の強い子の場合、これより短くなる可能性もゼロではありません。しつけをする際は、短時間のしつけを毎日コツコツ続ける必要があります。根気強く取り組みましょう。
褒めと終了のタイミングがポイント
ボディコントロールは嫌なところに触られてもおとなしくできることを目的に行います。触られてじっとしていられないのに褒めてしまうと、この目的を果たせません。完全におとなしくできてから褒めるようにしましょう。
また、ボディコントロールに限らず、しつけは犬が嫌な気分のまま終わってしまうとかえって逆効果になります。嫌なところに触れられてもおとなしくできていたら、必ず褒めてから終了してください。
プラスのイメージでしつけを終えることで、犬がしつけに対して積極的に取り組めるようになります。しつけの効果を持続させるためにも、褒めるときとしつけ終了のタイミングは正しく見極めるようにしましょう。
まとめ
ボディコントロールは、犬が安全かつ健康的に過ごすためには欠かせないしつけです。短い時間でも毎日続けて訓練しましょう。犬のペースにあわせつつ、褒めるときはしっかり褒めてあげるのが、成功のポイントです。
